税金のひとつに所得税があります。
所得税はどのように決まるのでしょうか。
今回は所得税について見ていきたいと思います。
所得税が決まるまでの流れ
所得税が決まるまでの流れは次のとおりです。
- 給与等の収入金額から給与所得控除後の給与等の金額を求める
- 給与所得控除後の給与等の金額から所得控除額の合計額を引き、課税給与所得金額を求める
- 課税給与所得金額から算出所得税額を求める
- 算出所得税額から(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額のを引き、年調所得税額を求める
さっそく、意味不明な用語がいっぱいあって???ですね。
それでは、順番に見ていきましょう。
1.給与所得控除後の給与等の金額を求める
給与所得控除後の給与等の金額は、次の表に基づいて計算されます。(平成28年度)
6,600,000円未満の場合は、所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表(第二十八条、第百九十条関係))という表で細かく分類されています。
給与等の収入金額 | 給与所得控除後の給与等の金額 |
6,600,000円未満 | 所得税法別表第五 |
6,600,000円以上
10,000,000円未満 |
収入金額×90%-1,200,000円 |
10,000,000円以上
12,000,000円未満 |
収入金額×95%-1,700,000円 |
12,000,000円以上 | 収入金額-2,300,000円 |
2.所得控除額の合計額を求める
ここで、所得控除額になりうるものは次のとおりです。
- 社会保険料控除額
- 小規模企業共済等掛金の控除額
- 生命保険料の控除額
- 地震保険料の控除額
- 配偶者控除額
- 配偶者特別控除額
- 扶養控除額
- 障害者等の控除額
- 基礎控除額
例えば、基礎控除額は380,000円と決まっているので、給与所得控除後の給与等の金額から基礎控除額分を引くことができます。
特定の条件を満たした場合は、上記のような控除が適用され、課税給与所得金額が小さくなるということですね。
3.算出所得税額を求める
課税給与所得金額を求めたら、次は算出所得税額の速算表と下記の式を使用して、算出所得税額を求めます。
表2を見ると、課税給与所得金額が大きくなるにつれて、税率が上がっていることがわかります。いわゆる、累進課税というやつです。
課税給与所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,950,000円以下 | 5% | – |
1,950,000円超
3,300,000円以下 |
10% | 97,500円 |
3,300,000円超
6,950,000円以下 |
20% | 427,500円 |
6,950,000円超
9,000,000以下 |
23% | 636,000円 |
9,000,000円超
17,320,000円以下 |
33% | 1,536,000円 |
4.年調所得税額を求める
算出所得税額を算出したら、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額を引き、年調所得税額を求めます。
5.年調税額を求める
平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間、復興特別所得税を徴収することになりました。よって、年調所得税額に102.1%を乗じた額が年調年税額となり、この額がその年に納めるべき所得税額となります。
簡単な例
それでは、例を用いて、計算してみましょう。
給与等の収入金額7,000,000円、社会保険料1,000,000円(その他、控除額なし)という設定にしてみます。
1.給与所得控除後の給与等の金額を求める
給与所得控除後の給与等の金額は、表1を使って求めます。給与等の収入金額は、6,600,000円以上10,000,000円未満の範囲なので、収入金額×90%-1,200,000円で、給与所得控除後の給与等の金額を求めます。
収入金額×90%-1,200,000円
=7,000,000×90%-1,200,000
=5,100,000
2.所得控除額の合計額を求める
今回の例で控除できるのは、社会保険料控除と基礎控除になります。
よって、所得控除額の合計は、次のようになります。
所得控除額の合計
=社会保険料控除額 + 基礎控除額
=1,000,000 + 380,000
=1,380,000
3.算出所得税額を求める
算出所得税額は次の式と表2を使います。
表を見ると、課税給与所得金額は、3,300,000円超6,950,000円以下の範囲なので、税率が20%、控除額が427,500円となります。
よって、算出所得税額は、
=課税給与所得金額 × 税率 - 控除額
=3,720,000 × 20% ー 427,500
= 316,500
となります。
4.年調所得税額を求める
算出所得税額を算出したら、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額を引き、年調所得税額を求めますが、今回の例では、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額はないので、算出所得税額が年調所得税額になります。
5.年調税額を求める
年調税額を求めるには、次の式を使います。
年調年税額 = 316,500 ×102.1% =323,146.5 → 323,100円
上記の額がその年に納める所得税の金額になります。